天国


今日、天国を見た
というのはウソだけど
僕は天国かと思って
君を探していた

飛行機に乗ると
雲の中を超えて
まるで綿菓子のような雲が
一面に広がる
そんな光景があった

その綿菓子には
陽の光が差し込まれ
この世のものとは思えないような
信じられない光景が
遠く遠く
この世の果てまで
広がっていた

僕は天国を見てしまった
こう思った僕は
あの人を探した
どこにいるのだろう
どこから僕を見ているのだろう

でもいなかった
綿菓子の隙間から見える
この世の大地が
ここは天国ではないと
教えてくれていた

それでも僕は
この天国のような
綿菓子が敷き詰められた空間を
とても愛おしく思い
抱きしめたかった

綿菓子には飛行機の影が映っていて
その影のまわりは
虹色に染まって
まるで僕は特殊な乗り物に乗って
見てはいけないものを
見てしまったかのようだった

気づくと僕は飛行機の外にいて
綿菓子の上から
だんだん遠ざかる飛行機を見ていて
あー僕は天国に来たんだ
その清々しさと
ちょっと怖い気持ちと
ワクワクする気持ちと
入り混じった
今まで感じたことのない気持ちを
からだ全身に感じながら
綿菓子に身を預けていた

僕の体は
綿菓子をあっという間に突き抜け
冷たい冷たい
とても冷たい
空気をあっという間に突き抜け
大地に叩きつけられていた

その光景を
綿菓子の上から見ていた僕は
おもしろくて
おかしくて
大笑いをしていたら
隣にあの人が
僕の手を握っていた
そんな僕は
幸せだった