夜道を一人で歩いていると
向こうから
長い髪の女が歩いてきた
楽しそうに
鼻歌を歌い
買い物袋を縦に揺らして
僕の横を通り過ぎていった
夜道を一人で歩いていると
向こうから
酔っ払いが歩いてきた
険しい顔をして
ブツブツと
独り言を言って
僕の方によろけてぶつかった
夜道を一人で歩いていると
カラスが空からやってきて
僕の前に舞い降りて
まっすぐ僕を見つめて
僕のことを凝視して
大きく翼を広げて
僕の肩をかすめて行ってしまった
何やってんだ
そんなカラスの目だった
よく考えたら
あの髪の長い女も
酩酊した酔っ払いも
何やってんだ
そんな目で僕を見ていた
そんなことに気がついた
僕は
何もなかったから
何もなく歩いていただけだから
石ころと一緒
転がる石と一緒
石なんてないのに
なぜ
それが
みんなに
わかってしまうのだろう
僕が
何も
ないことを
like a rolling stone
そんなかっこいいもんじゃない
僕も
鼻歌を歌おう
酔っ払って幸せなふりをしよう
鳥のように大空を飛べるふりをしよう
僕は生きているんだから
like a rolling stone
そんなもんになるもんか
僕が石ころを転がすんだ
僕が世界を動かすんだ
僕が幸せをつかさどるんだ
お前なんかに負けない
絶対に負けやしない
僕は知っている
ほんとは勝ち負けなんて関係ない
知っている
僕は
だから
負けない
僕は自分の意思で歩く
歩き続ける
だから
like a rolling stone
そんなもんになるもんか
絶対
そんなもんになるもんか