アサリ


イタリアンのシェフが
アサリのボンゴレ
振る舞ってる

砂は絶対に残さない
そう言って
その技を教えてくれた

僕も思う
ジャリ
台無しだ

洗面所に行き
吐き出し
口を何回もゆすぐ

そんな経験
だけど
アサリは美味しいから

僕はアサリが好きだから
美味しくて
幸せになれるから

調理の前に
50℃のお湯で茹でる
アサリは砂を吐き出す

旨味も抜け出さない
なぜなら
アサリは生きているから

50℃は死なない温度
イタリアンのシェフはそういった
もがき苦しむ

そんな言葉が思い浮かぶ
地獄釜
そうに違いない

残酷
そんなこと言わない
だって僕らは残酷だから

アサリ
生きていること
気づいていないだけ

僕らは気づかなければいけない
尊敬しなければならない
感謝しなければならない

美味しく食べる
感謝して食べる
それが生きることだから