海は広いな大きいな

 

単純な歌だな

でもなんで

忘れることのない歌詞

 

海は広いな大きいな

 

誰もが思う

ホントの事

大発見でも何でもない

 

だけど同時にこう思う

僕は小さいな

ちっぽけだな

 

海は広いな大きいな

 

初めて海を見たとき

誰もがそう思った

自分の存在を知った

 

だから海は

僕らの海は

僕らのものなんだ

 

海は広いな大きいな

 

僕は小さいなちっぽけだな

 

果物

 

スーパーに行ったら

イロトリドリの果物が並んでいて

その一つを手にとったら

甘酸っぱい匂い

僕は果物になっていた

 

みんな僕を見ては品定め

鼻に近づけて匂いをかぐ

可愛い子に買ってもらえるといいな

そんなこと思っていたら

かごに入れたのはおばあさん

 

おばあさんは買い物袋に僕を入れ

重そうだけど

一生懸命家に持ち帰る

僕はその家のテーブルに置かれて

甘酸っぱい匂いをほのかに撒き散らす

 

次の日

おばあさんは僕を包丁で切りわけると

タッパに入れて家を出た

着いたところは学校の校庭

運動会

 

お昼の時間になり

僕を見て笑う可愛い子

口に頬張り楽しそう

おばあさんも嬉しそう

その瞬間

 

僕は僕に戻って思い出す

あの甘酸っぱい匂い

そうかそうだったのか

僕は果物を一つ手にとって

家に帰ることにした

 

それが僕の人生だった

旅立ち

 

ゴルフをしていたら

ボールが木に当たって

 

カコーン

 

そんな音がしたものだから

申し訳ないな

 

そんなふうに思ったけど

そこにある木は

 

そんなことには慣れていて

でももちろん嬉しくはなくて

 

逃げられるわけでもないから

それも受け入れて

 

生きているのだけれど

悠々と

 

逞しくて

恥ずかしさは微塵もなくて

 

僕らを受け入れてくれて

僕らを圧倒していたから

 

どこにでも行ける

どこにでも逃げられる

 

それなのに

どこにも行かない

 

そんな僕は

恥ずかしくて

 

どこかに行ける価値

なんだろう

 

そう思ったから

どこかに行くことにした

大切なこと

 

きれいな海

なぜだか土砂で埋めようとしている

 

飛行場を作るらしい

便利になる

 

違うよ

戦闘機が来るんだよ

 

何言ってるの

こんなきれいな海なのに

 

でも仕方がないさ

僕らはそういう生き物

 

自然を壊して

自然を食べて

 

僕らは生きている

だから大事なことは何

 

僕らが自然になることさ

それが一番大事ななこと

 

自然て何

それが大事なこと

 

考えて理解することじゃあない

僕らが生きていることだから

 

そんな大切なことなのに

なぜ知らないんだい

いつもの

 

やちむん

知ってる?

 

沖縄の陶器

きれいなその器は

 

なぜやちむんというのか

知らないけど

 

そんなことはどうでも良くて

僕は毎日やちむんのお皿でご飯を食べていて

 

それが日常で

それがいつものことで

 

何も思わなかったけど

沖縄で見たその器は

 

やはり美しくて

というか

 

なにか力強くて

生きていて

 

それでいて

日常で

 

スカしていなくて

普通に使われていて

 

僕の日常と一緒だったから

あーそうか

 

やちむん

そうだったのか

 

僕は嬉しかった

誕生日

 

沖縄に行ったんだ

青い空に青い海

 

地図を見たら

ここは日本?

 

そう思ったけど

やはり日本とはちょっと違って

 

何が違うって

よくわからないけど

 

空港に降りて思った

空気が違う

 

頭からバチン

音がして

 

僕は目が覚めた

なにか生き返った気がした

 

心の中から

ワクワクする気持ちや

 

ドキドキする気持ちや

これらかに対する期待

 

そんなものが生まれてきて

湧き出してきて

 

だから

僕は

 

知らないってことは

生きていないってことだ

 

そう思ったから

僕は今日生まれたんだ

 

思い出せ

 

ひなげしの花

そんな歌があったっけ

 

歌詞もよく覚えていない

片言の日本語で歌っていた

 

でもなぜだか

知らないうちに口ずさむ

 

なぜだろう

この歌に思い出なんかない

 

それでも

暇な時

 

何もしてないとき

そんなときに口ずさんでしまう

 

それは

かつて

 

そんなときに

口ずさんでいたからなのかもしれない

 

僕はなにか

大切なこと

 

忘れているような気がする