梅の花が咲いていた
いい香りが漂っている
まだまだ寒い
とても寒いこの時期に
なんで咲いているのだろう
誰のために咲くのだろう
4月になれば
桜の花が咲き乱れる
それでは遅い
そして目立たない
だからまだ寒いこの時期
梅の花は咲くのだろうか
寒い寒い冬
梅の花を見ることで
僕らは何かを感じ
何かを思い出す
そのために
咲くのかもしれない
大したものだ
たいしたものだな
眠くて
眠くて
眠くてしょうがないんだ
僕を寝かせてくれないか
できれば
日の当たるところで
暖かさにくるまれて
ほんのちょっとでいい
微睡んでいたいんだ
そして日が暮れたなら
暖かな毛布にくるまれて
日が昇るまでぐっすり眠っていたいんだ
眠くて
眠くて
眠くてしょうがないから
なあ
寒くて
寒くてしょうがないんだ
僕を寝かしておくれ
そしてこう言っておくれ
「おやすみ」
それが僕の願い
最後の願い
なあお願いだよ
久しぶりに映画を見たんだ
年の離れた恋人たち
ベッドで本を朗読する
年上の彼女は
真剣な眼差しで
泣いたり笑ったり
本を読んでもらったことなんて
いつのことだろう
本を読んであげたのも
よく考えたら
本も読んでない
いや何もしていない
僕は本屋さんに行き
一冊の本を買ってきた
そして一人部屋で
声に出して読んでみた
ひとりで
ささやくような声で
僕は誰に向かって読んでいるのか
僕は誰かのために読みたかった
誰かのための僕になりたかった
本を読んでる僕は僕ではなくて
誰かのための僕であって
その本もその誰かのものになっていた
僕もいつか
本を書いてみたい
その本は誰のための本だろう
誰かに読まれる本でありたい
誰かのための本でありたい
誰かのための僕でありたい
酒場に行くTV番組がある
何気なくテレビを見ていたらやっていて
ずっと見ていたら
なんか自分もそこにいいるような気がしてきて
冷蔵庫からビールを取り出して
一緒になって飲んでいたら
そうだよな
楽しいよな
幸せだよな
なんか喋りたくなるような
そう思って
酒って不思議だよな
誰が考えたのだろう
酔うってことはからだを麻痺させることだよな
そんな飲み物を誰が発明したのだろう
そう思ったけど
世界各地に酒があるということは
すべての人間が欲していたのだろう
欲しているのだろう
酒を飲んで
楽しみたい
喜びたい
そして
忘れたい
そう願う人々が世界中にいるのだろう
だからこうも思う
酒を飲まない人間
酒を飲めない人間
強い人間だ
そして
酒が好きな人間
弱い人間だ
そう思ったら
酒場の人間たちが
より愛おしく見えてきた
乾杯しよう
乾杯
ねっ
一緒に飲もう
美味しいものを食べよう
幸せになろうじゃないか
酒に溺れる
楽しくて
酩酊して
言わなくていいことまで喋って
楽しくて
記憶がなくて
いつの間にか
眠っていて
夜中に吐いて
朝起きて
それに気づいて
頭も痛くて
激しく後悔して
もう飲むもんか
そう思いながら
気持ちの悪いからだを
なんとか動かし
なんとかいつもの自分に戻ろうとするが
戻れない
苦しい
気持ち悪い
頭が痛い
どうにかしてほしい
お願いだ
でも
しょうがない
酒に溺れたのだから
どうせ溺れるなら
本当に溺れてみたい
鬼太郎の親父みたいに
器の中に酒を満たし
裸で浸りながら
あー楽しい
そう言ってみたい
そう言って
酒に溺れてみたい
そう考える僕はバカだな
いつもそう思う
そして
もしかしたら
幸せなのかもしれない
そう思うことにしている
絵を描こうと思って
筆をとったけど
何を描けばいいのか
まるで思い浮かばなくて
丸や三角や
四角や二重丸
木や森や
家や太陽や
川やメダカや
月やお星様を描いていたら
なぜだか
僕の世界が現れて
あーそうだったのか
僕の世界はこんなだったのか
そう思ったから
その絵の中に入ってみたら
いつもの日常を送る僕がいて
僕は絵の中にいたことがわかった