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僕の気持ち


スケートリンクに行くと
君はもう先にすべっていた

華奢なからだに
大きめのセーター
帽子と手袋をして
頰を赤く染めて
気持ちよさそうにすべっている

僕も靴を履いて
後を追うが
全く追いつけず
一周回って後ろから彼女が
やってきた

へたくそ
彼女はそういうと
また先に行ってしまった
彼女は人をかき分け
時に後ろを向いてすべったりして
徐々に皆の注目を浴びていった

僕はそんな彼女が誇らしくて
滑るのをやめて
柵に寄りかかって
彼女がすべる姿を
じっと見つめていた

不意に彼女がやってきて
僕の腕をつかみ
リンクの中央に連れ出した
やめてよ
そういう僕のことなんておかまいなし

踊るわよ
とんでもないことを言いながら
僕の手を取り
すべりだした

僕はすべるというよりも
引っ張られ
おされ
抱きしめられながら
氷の上を歩くように進んだ

息を切らしながら
汗までかいて
口も開いて
きっと頰も赤いはず

でもなぜだか
僕の心は気持ちよくて
充実していて
嬉しくて
楽しくて
一生懸命だった

こんな気持ち
何かに似ているな
そう思ったけど
僕はもう思い出すのをやめて
彼女に委ねた

へたくそ
彼女は楽しそうに
僕を見て
僕を抱きしめて
笑った