抱きしめたい


一本道
まわりに木々が立ち尽くし
どこまでも続くその道は
まるで僕を
どこかに連れて行こうとしているようで
怖かったけど
身を委ねてみると
気持ちいいことがわかり
僕は
どこまでも
どこまでも
走り続けた

いったいどこまで
続くのだろう
そんな風に思っていたら
やがて
僕の体は
地上にはなくて
青い
どこまでも青い空と
一つになっていた

そんな僕は
いつのまにか
空の上から
みんなを見ることができ
嬉しさや
悲しさや
悔しさや
なんともいえない
寂しさが
僕の心を包み出し

早く帰りたい
と思ったけど
もう帰る家はなくて
みんなを
空の上から見るしかなくて
それは
願い
それと一緒で
僕は
祈るしかなかった

僕は
祈り続けた
彼や
彼女や
みんなことを
そして
少しは
僕のことも
思ってくれるといいな
そんな風に思って
祈ったら

僕は
公園のベンチに座っていて
まわりには緑の
新緑に身を包んだ
木々が
取り囲んでいた
ようこそ
と言ってくれて
僕は
嬉しくて
なんだか
嬉しくて
下を向いたけど
やっぱり
上を向いて
青い空があることに
気づいた

そんな僕は
自然と一緒になって
彼や
彼女らを
守ることの大切さを
思い出して
涙を流して
抱きしめた
自分自身を
抱きしめた