幸せの発明


朝起きて
一杯のコーヒを淹れてたら
なんか幸せな気分になってきて
なんでだろう
そう思ったら
この香り
この香りがそう思わせていた

この乾燥された黒い豆
それが砕かれ粉になり
芳醇な香りを漂わせる
僕らを安心させてくれる
僕らに幸せを感じさせてくれる
彼らはいつから存在しているのだろう
いつから僕らに幸せを与えてくれているのだろう

口に含むと
その香りは鼻を経由して頭の中いっぱいに広がり
胃や腸がその癒しを求め始める
それに応えるかのように
口に含んだコーヒーを流し込むと
不思議な
安堵感が身体中に広がる

思えば
このコーヒーを見つけたのは誰なのだろう
一体いつから僕らはこうやって飲んでいるのだろう
真っ黒な液体
とても健康的とは思えないこの液体
発明した人は
新たな自然を作りだした

そう自然に存在するものを
我々と融合させるそんな仕事
そんな素晴らしい仕事を成し遂げられる幸せ
この世界に広がる自然
まだまだ我々は知り得ていない
まだまだ我々が取り込むものがあるはずだ
自然との融合

それが発明
発見ではなく発明
僕らはそんな仕事を成し遂げなければならない
ちっぽけでいい
ノーベル賞なんていらない
人を幸せにする
そんな発明

それが僕らが目指す道
それが僕らが残すもの
それが僕らが生きた意味
それが皆への道導
それが僕らのこの世の役目
だから人生は
素晴らしい

 

幸せだね


幸せだね
あの人はいつも言っていた
そんな大したことしてないよ
大げさだな そんなふうに思ったけど
とても嬉しかった

幸せだね
その言葉は
僕や僕らを幸せにした
自信が持てた
僕や僕らが幸せであることに

あの人も一緒だったと思う
幸せだね
そういうことで
幸せであることを
確認したかったんだと思う

今だからわかる
幸せだね
その言葉は
僕や僕らのためであるとともに
自分自身のためであると

だからあの人は幸せだった
僕らを幸せにしてくれた
幸せだね
すべてのものへの感謝
僕らに与えてくれた希望

素敵だね
そんな僕らは素敵だね
そんな言葉を送りたい
幸せだね
きっとそう言ってくれるはず

 

走り続ける


マグロは
泳ぎ続けないと死んでしまう
そんな話を聞いたことがある

本当かな
いつ眠っているのだろうか
彼らは泳ぎたいのだろうか

人間で言えば
走り続けていると同じこと
そんなことできるわけがない

もし走り続けなければ
マグロと同じように死んでしまうとしたら
僕らはどこへ向かって走るのだろう

そもそも
マグロはどこへ向かっているのだろうか
彼らの目的はなんなのだろうか

ひょっとして
マグロの目的は泳ぐことなのだろうか
泳ぎ続けるために生まれてきたのだろうか

そうだとしたら
僕らはどうなのだろう
なんのために生まれてきたのだろう

僕は思う
生きるために生まれてきたと
僕らは生き続けなければ死んでしまう

当たり前だけど
それが僕ら
だから僕らは生き続ける

どんなに辛いことや悔しいことがあっても
僕らは立ち止まれない
生き続けなければならない

それができなくなった時
マグロが泳げなくなった時と一緒
僕らが死ぬ時だ

安心しただろう
僕らの目的は生きることだから
僕らはすでに目的を達成しているわけだ

であればあとはボーナス
何したっていいんだ
楽しんでいけばいい

そういうことさ
そういうこと
だから人生は楽しいんだ

 

君の香り


君の香り
いつからだろう
気がついたのは

君が近くに来ると
いつも同じ香りがする
気がついた僕は

パブロフの犬みたい
ニヤついて
安心して

心の底から
ホッとして
それが日常だった

甘くて
それでも
なんか切なくて

温かくて
美味しそうで
不思議な香り

なぜだろう
この香りがいつかなくなってしまうことを
僕は感じていて

僕は怖くて
君の香りから
逃げ出した

いつからだろう
君の香りを
忘れてしまったのは

どうしてだろう
君の香りを
思い出したのは

甘いくて
それでも
なんか切なくて

温かくて
美味しそうで
不思議な香り

誰ひとりいない
他にいやしない
君の香り

 

灯台


僕は灯台が好きだ
港や岬の突端で
絶えず灯をともし
真っ暗な闇夜
大海原を行き交う僕らを
導いてくれる灯台

昼間見る灯台
どこか寂しげだ
周りには何もなく
草も生えていたりして
ポツンと佇み
じっとその時を待っている

そんな灯台
夜になると強烈な光を発し
僕らを導き出す
すごい嵐の日だって
霧深い闇夜だって
誰もが不安になる時だって

その光は僕らを勇気付け
安心させて
大丈夫だから
いつでも帰っておいで
大丈夫だから
いつもみてるから

そんな灯台に僕もなりたい
そんな存在に僕もなりたい
僕の灯台
君や僕ら
そして僕自身のための
そんな灯台に僕はなりたい

 

夕焼け


夕焼けってすごいな
僕や僕らの
いつもの街
いつもの風景
全く違うものにしてしまう

真っ赤な輝き
その輝きに征服された
街や人々や僕ら
神々しい光を浴びて
この世のもではなくなる

そんな時間は一瞬
その後僕らは暗闇に包まれる
だからこそ
夕焼けに染まった瞬間は
かけがえのない時

誰もが赤く金色に輝く時
今日という日に想いを馳せ
明日という日に希望を抱き
今夜の幸せに胸をときめかす
そんな一瞬

僕らは素敵な世界に包まれている
僕らは素敵な世界を生きている
それに気づかないのが
幸せだって
知らないよね

 

雨降るとき


雨が上がると
山から煙のようなものが立ち上る
水蒸気なのか霧なのか
幻想的な光景
 
しんと静まり返った中
汚れが洗い流され
山が呼吸をしているかのよう
そんな景色
 
生きている
自然も息をしている
それが
見える時
 
僕らはいつも一つの方向からしか物事を見ることができない
見えるということの意味がわかっていないのかもしれない
知っているけど知らないふりをしているのかもしれない
 
山はそこにあるもの
ではなく
そこにいるもの
 
そして僕らも
そこにいるものの一つ
自然の一つの構成品
 
だから僕らが自然を破壊していると思ってはいけない
破壊しているようで破壊されているのは僕らだから
だって僕らは同じ構成品
 
僕らが息をしているように
あの山も息をしている
もう少し近づいてみよう
 
そっと抱きしめてくれるかもしれない
そうしたら僕らも抱きしめてみよう
恋に落ちてしまうかもしれないよ
 
僕らは同じ存在
この世界を作りこの世界を壊すこともあれば愛することもある
雨降るときにわかるはず