新しい衣


ウンベラータという
観葉植物が部屋にある

深く明るい緑色の
大ききな大きな葉っぱを持つ

日に当たり
嬉しそう

僕と一緒だ
そう思ってくれたら嬉しい

大きな大きな葉っぱは
一年に一回ぜんぶ落ちてしまう

枯れてしまった
死んでしまった

そう思ったけど
そんなことはなくて

やがて芽を出し
新しい葉っぱがたくさん生まれてくる

大きな大きな
ものすごい緑の葉っぱ

生命力
言ってしまえば簡単だけど

ものすごい力
きっとこう言ってる

すごいだろ
君にもできるかい

できるわけない
そう思ったら聞こえた

できるよ君にもできる
してないだけ

大きな大きな葉っぱが
僕を励ましてる

そうだね
できるよね

君のいう通り
していないだけ

負けない
負けないから

ちょっと疲れたら
僕も衣を全部脱いで

新しい衣を身にまとえばいい
その衣は自分で作る

作れる
君のように

大きな大きな
僕に似合う素敵な色の

君に負けないような
衣を作り身にまとう

そして始める
新しい日々

君に教えてもらった
大事なこと

 

美しい僕ら


雪が降ってきた

久しぶりだ

美しい

美しい

真っ白

儚い

舞い散る雪

僕は外に飛び出して

空を見上げ

雪を見上げる

その時

気づく

空と一つになったこと

美しさ

僕のものになったこと

気づく

手が温かい

隣に彼女

一緒に空を見上げて

雪を見上げている

美しさ

美しい世界

美しい僕ら

素敵な一年を

 

価値

男たちは
海に漁に出る
波に揺られ
魚と格闘し
生きる糧を得る

男たちは
山に向かい
鹿を仕留める
鳥を仕留める
大事な命を食らう

男たちは
畑を耕し
コメを作り
様々な食物を育てる
生き物を育てる

女たちは
男たちを助け
家庭を守り
子孫を育み
生きることを継続させる

子供達は
そんな大人たちを見て
親の背中を見て
憧れて
自分の役目を覚える

僕の役目はなんなのか
何かなし得ているのか
何かなし得ようとしているのか
何もなし得ていないのではないか
言い訳ばかりしているのではないか

恥ずかしくない生き方をしたい
豊かな時代
甘えていてはいけない
昔から培ってきたもの
受け継いでいかなければならない

生きること
生きる価値を得ること
それは漁でも狩でも子育てでもいい
自分だからできること
自分がすべきこと

それが僕の価値
そんな生き方を僕はしなければならない
逃げない
逃げない
それが生きることだから
 

すき焼き


僕は
嬉しいことや辛いことがあった時
すき焼きを食べる

悲しかったり寂しかったり
そんな時
すき焼きを作ってもらう

すき焼きは
幸せの印

すき焼きは
希望の証

すき焼きは
涙の味

大晦日の今日
僕はすき焼きを食べる
みんなで食べる

今はいないあの人を
思いながら
すき焼きを食べる

今はひとり
それでも僕は
すき焼きを食べる

みんなで食べる
すき焼きは
僕の希望だから
 
 

抱負


一年が終わる

何ができて何ができなかったのか

毎年思うけど

実はそんなことはどうでもよくて

何をしたか何をしなかったのか

ようやく最近気づいて

振り返るといろいろなことを

したりしなかったり

でもそれは全て僕の意思

だからそれが僕の一年

自分で評価すればいい

他人に評価を委ねるような

そんな生き方は嫌だ

気にいいられるか気にいられないか

そんな生き方は嫌だ

自分が納得して他人も納得する

そんな生き方がしたい

それが僕の目標

僕の抱負

 

叫ぶ


いつものように

空を見て

綺麗だな

そう思っていたら

急に息苦しくなって

なんでだろう

思ったら

空の向こうには空気がなくて

この地上との隙間

そこに空気があるだけで

僕は

その貴重な空気を吸っていなければ

生きられないことに気づいたから

この空の向こうにも

青い青い海の中にも

空気はなくて

僕は何処にもいけないことを

知ってしまったから

僕は

僕らは閉じ込められている

気づいてしまったから

僕は息苦しくて

泣き叫ぶしかなくて

大きな声で

助け求めるしかなくて

そんな毎日を送っていた