一通の手紙

 

キャラメルを食べてたら

あっという間に溶けてなくなってしまって

 

名残惜しくて

もっと食べたくて

 

ポケットに手をつっこみ

ゴソゴソ探してみたら

 

くちゃくちゃになった

一通の手紙が出てきた

 

そこには

 

豆腐一丁

りんご二個

玉ねぎ一袋

きゅうり一本

バラ肉200g

 

そう書いてあった

 

手紙なんかじゃないじゃないか

でもそんなことはなかった

 

僕に当てた

一通の手紙

 

僕は握りしめて

その手紙を胸に当てた

 

りんご

 

久しぶりにクルマに乗って

どこまでも行きたくなったので

どこまでも行ってみた

 

そしたらある街について

こう聞かれた

りんご屋さんはどこですか

 

おかしなこと聞くな

そう思ったけど僕は知らなかったから

知らないと応えた

 

おばさんだった

そう言うと悲しそうな顔をして

どこかに行ってしまった

 

そのまま少し走り続けると

街のハズレに一軒のりんご屋さんがあった

僕はあのおばさんに教えてあげたくて

 

急いでいるわけでもなかったから

あの街に引き返して

おばさんを探した

 

あのおばさんは寂しそうに

公園のベンチに座っていた

隣にはりんごが一個置いてある

 

ああそうか見つけたのかりんご屋さんを

良かったな

そう思っておばさんに町外れのりんご屋さんの事を言ったら

 

お食べ

そういって僕にりんごをくれた

ベンチに置いてあったりんごをくれた

 

僕は助手席にりんごを置いて

また車を走らせた

町外れにさっきのりんご屋さんが見えてきた

 

違った

僕がりんご屋さんと思ったそのリンゴは

真っ赤な心臓だった

 

いくつも店先にぶら下げてある心臓は

ハートの形をしていて

ドクドクドクと動いていた

 

僕はビックリして

助手席のりんごを見たら

そのりんごは僕の心臓だったから

 

ドクドクドク

僕は慌ててその心臓を胸にしまい込み

一目散にクルマを走らせた

 

あのおばさんが手を降っているのが見える

なんて言ってるのかわからない

笑いながら僕を呼んでいる

 

 

 

プレゼント

 

スゴイ風が吹いている

もう立っていられない

吹き飛ばされてしまいそうだ

 

しゃがみこんで

飛ばされないように

丸くうずくまる

 

違うよ

立ってご覧

そして両手を大きく広げてご覧

 

ほら

どうだい

飛べただろ

 

そこからは何が見える?

君は大空

あんなに飛びたがっていたじゃないか

 

これはプレゼント

そう僕からのとっておき

気に入ってくれたかな

 

どこまでも

どこまでも

あの雲よりも高く

 

もしかしたら

宇宙まで

いけるかもしれない

 

手を上下に動かしてご覧

君は自由だ

どこにだって行ける

 

君は

なりたかった君になったんだ

すごいことだよ

 

だから安心して

もう大丈夫

君はどこにだって行けるのだから

コーヒー

 

コーヒー

眠くなったら飲む

目が覚める

さあ

もうひと頑張りだ

 

カフェインレスのコーヒー

デカフェっていうらしい

面白いものつくるね

ただただ

コーヒーを飲みたいだけ

 

僕らは

何気なく

いつも何気なく

コーヒーを飲んで

休まりくつろぎ

 

そして

次の場所に向かっていく

コーヒーは

そのスイッチ

僕らは自分自身でスイッチを入れる

 

コーヒーを一杯くれないか

デカフェじゃないよ

うんと濃いやつ

これから頑張らなきゃいけないから

これかだ出かけなきゃいけないから

 

帰ってきたら

また飲みに来る

その時は

デカフェでもいいや

よく眠れるようにね

 

だから

待ってて

美味しいコーヒを淹れれるように

準備して

待ってて

台風

 

また台風がやってくるらしい

すごい雨にすごい風

 

もうやだよ

こっちにこないでほしいな

 

でもあっちに行ったら

あっちにいる人は大変だ

 

だから

しょうがないんだ

 

台風はどうやって行き先を決めてるのかな

なにか目的があるのかな

 

なんで生まれて

どこに行こうとしているのかな

 

勝手に名前なんかつけられちゃってさ

いつも悪者

 

たまには

みんなに感謝されたいよな

 

よく来てくれた

よく雨を降らしてくれたって

 

でも台風は台風だから

仕方がない

 

そして

僕らは僕ら

 

台風とだって一緒に住む

そんな世界

 

だから

準備して用意して

 

迎える

そして出会い別れる

 

それだけのこと

一生懸命

 

手術をしたんだ

大した手術じゃない

ちょっと入院しただけさ

 

お医者さんや看護師さん

みんな一生懸命

見ず知らずの僕のために

 

僕は痛い痛いって

まるで子供みたい

なんとかしてくださいって

 

かっこ悪いったらありゃしない

でも痛かったんだ

しょうがないよ

 

僕も誰かを助けることができるかな

誰かを助けることのできる僕になれるかな

そうなりたいな

 

あの人達のよう

そう思った

明かり

 

まだ五時過ぎだというのに

 

もう空が暗くなってきた

 

おかしくないかい

 

ついこないだまで

 

七時くらいまで明るかったのに

 

もう少し見せておくれよ

 

空や

 

雲や

 

君の顔

 

だって暗くなったら

 

いくら月や星が明るくても

 

よく見えないんだもの

 

昼には昼の

 

夜には夜の顔があるって

 

馬鹿言っちゃいけないよ

 

一緒

 

どっちも同じさ

 

だから僕は見ていたいのさ

 

よーく見たいのさ

 

さあ明かりをつけるよ

 

ちょっと眩しいかもしれないから

 

びっくりしないでね

 

スイッチ入れるから

 

 

バーン