缶コーラ


彼女のコーラは飲みかけで
飲んでいいよと手渡され

僕はコーラを手に持って
ドギマギしながら手も震え
何もないよと装って
どしたらいいかと考えて
何度もなんども考えて
それでも時間は一瞬で
とても長い一瞬で
さも当たり前のように口つけた

カンの口にはひんやりと
彼女の唇の温もりがそこにあり
僕の心はしびれてしまい
そのまま身体がほてり出し
体中が赤くなるようで
そんな僕を気づかれないように
コーラを一気に飲み干した

ありがとう
彼女にカンを差し出すと
彼女は笑って僕を見つめ
そのまま地面にカンを置き
大きく向こうに蹴り上げた

行こう
彼女は僕の手を引いて
蹴り上げたカンに向かって走り出した