あの街で

 

引っ越したんだ

半年前に

あの北国の街

一人で暮らした街から

帰ってきた

 

久しぶりに行ってみた

あの街

ついこの間のことなのに

懐かしくて

その時の思いが蘇る

 

あの街はいつもの街だった

ファミレスのおばちゃんも

コンビニのあの娘も

レンタカー屋の店員も

いつものままだった

 

この街はいつもの街だった

そして

僕がいないだけだった

何も変わらない

いつもの日常

 

それじゃあ

僕ってなんだ

いてもいなくても

変わらない

何も変わらない

 

昔住んでいたアパートの窓には

カーテンがかかっていた

僕の知らない誰かが住んでいる

この街はいつもの街だけど

ちょっとだけ新たな街となっていた

 

いつか僕がこの世からないなくなっても

この街はいつもの街であって

新しい街となるのだろう

寂しかったけど

なんか安心した

 

今を生きる

その大切さ大事さ

それがわかった

ようやく

僕はわかった

 

だから

僕は大好きなあの街に

別れを告げた

もう

振り返ることはない