ひとり

誰もいない山の中

じっと

焚き火の炎を見ていた

 

湧き上がる炎は

蜃気楼のようで

幽玄で

儚く見えて

 

その炎の中に

吸い込まれそうで

吸い込まれたらどうなるのか

きっと天に登れる

 

そんなことを思いながら

薪を継ぎ足しながら

幾重にも揺らめく

炎を見ていた

 

死んでしまった木から

炎が咲き上がるのはなぜだろう

あの太陽もそうなのだろうか

死んでいるのだろうか

 

太陽のような人

実は死んでいる人

最後の瞬間を

僕らは見ているだけなのかもしれない

 

僕らはこの炎のように

人を暖めることができるだろうか

勇気づけることができるだろうか

生きているうちに

 

日を焼べるのは他人じゃない

僕ら自身

僕らは自ら火種を起こすことができる

火をつけるのは自分だ