朝日


台風一過の朝
駅のホームに朝日が差し込んでいた
黄金色
普段の見慣れた景色が染まっていた

電車を待つ人たち
朝日に照らされ輝いていた
素晴らしい景色
素晴らしい朝日

だけど
みんなうつむいていた
スマホを見ていた
誰ひとり朝日を気にしていなかった

なんでだろう
どうして誰も気がつかないのだろう
こんな素敵な朝なのに
こんな素敵な僕らの世界なのに

みんなに伝えたかったけど
独り占めするのもいいか
そう思って
ひとり笑っちゃった

気づくって
感じるって
素晴らしい
素敵な朝だった

 


雨が降り続いていた
シンとした空気
誰もいない世界
 
窓から外を見る
みんな雨宿りしてる
人も虫も草木も
 
いつまで降り続くのか
雨はどこからきて
どこに行くのか
 
どんどん綺麗になって行く
世の中
その瞬間を見るのが好きだ
 
これまでにない大雨
それだけ雨を降らさなければならないほど
僕らが汚れてる
 
世の中が
自然が
そして僕自身が
 
だから
僕らは雨を待つ
綺麗にしてもらうため
 
生きるため
勇気をもらい
力をもらう
 
そして
優しさをもらう
それが雨
 
僕らの雨
そう思って
今日も僕は雨を待つ
 

僕らの血


朝起きて
太陽の日差しを見て
目を閉じたら
目の前が真っ赤だった

子供の頃に教えてもらったこと
手のひらを太陽に
そんな歌もあったっけ
見えたのは僕らの血

僕の目で
僕の体に流れている
僕の血を
見ることができた

僕は僕自身を見ているようで
見えていない
見たこともない
顔も見たことない

あの鏡や写真に写っている
僕の顔は
本当に僕なのだろうか
だって見たことがないのだもの

血だってそうだ
僕の体の外に出たもの
見たことがあるけど
それはすでに僕のものではない

僕の体に流れる血
そして
僕の心に流れる血
それを教えてくれた太陽

目で見るもの見えるもの
目で見えないもの
目を閉じたら見えるもの
目を閉じて見るもの

僕らは表面的なものだけを見て
それを見たと思ってはいけない
見えないもの
それも含めて見えるもの

感じるもの
気づくもの
それができるかできないか
それは僕次第だから
 
 

美しい


切り花が飾られている
綺麗なバラ

花は切られても
しばらくのあいだ咲き続ける

僕らはそれを見て
美しいと思う

切られた花はどう思っているのだろう
なんとも思わないのだろうか

見られているだけマシなのかも
誰にも見られず枯れてしまうよりいいのかもしれない

僕らの勝手な思い
そう僕らの勝手な考え

僕らは勝手な考えで
僕ら自身をごまかす

いつものこと
自分勝手な自分

でもこうも思う
ごまかす必要はない

美しいものは美しい
それでいいじゃないか

それが自然なのだから
それに理由はない

だからこんな自分も自分なんだ
そんなこと思ったら

考えることや気づくことも大事だけど
感じることはもっと大事かも

そんなこと思って
笑っちゃった

 


最近雨ばかりだな
なんでかな
なんで雨は降るのかな

空が泣いている
そんなことを言った人もいたけど
それはその人が泣いていたから

空は泣いたりしない
泣いている僕らを雨で洗い流したり
青空で乾かしたり

空はいつでも僕らの味方
空は強く
空はいつも僕らを見ている

そんな空に恩返ししたいな
そんなことを思って
ずっと空を見ていたら

空は空だけど
空と僕は別の存在ではなくて
空と僕は一つ

そんなことに気づいて
大きく息を吸ったら
空を飲み込んでしまったようで

いや実際に飲み込んでしまって
これが一つになることか
いや最初から一つだったんだ

そんなことを思って
僕の心は
晴れ渡った

 

おおきな木


河川敷
おおきな木が
芝生の上でくつろぐ人を
グランドで野球をする子供たちを
自転車の練習をする親子を
おもいおもいの時間を過ごす人々を
何も言わずじっと見てた

台風の日
おおきな木は
川に飲み込まれていた
頭の上の葉が少し見えるだけ
濁流に抵抗している
おおきな木が
そこにはあった

次の日
台風一過の青空の日
おおきな木は
どうなってしまったのだろうか
気になって見に行くと
そこには
いつもと変わらないおおきな木があった

木の根元に
漂流物だろうか
ゴミが巻きついている
それ以外は
いつものおおきな木
じっと何も言わず
僕を見ていた

誰もが台風を忘れ
いつもの日常に戻ると
おおきな木は
何事もなかったかのように
いつもの
おおきな木となって
そこにい続けた

濁流にほぼ全身が飲み込まれた時
おおきな木は
何を考えていたのだろう
ヘッチャラだったのだろうか
怖くなかったのだろうか
もうダメだと思わなかったのだろうか
どうしてなんともなかったのだろうか

聞いて見たかったけど
答えてくれるわけもない
だけど存在している
今日もいつものように
それが彼の答えだ
僕ならどうだっただろうか
あきらめちゃったかもしれない

そんなこと思ったけど
おおきな木を見ていたら
そんなこと思ったことが恥ずかしくなって
お前も頑張れよ
できるから
そんなこと言われているようで
了解って小さな声で言ってみた
 

いつか


電車に乗る順番を待っていたら
座れるかな
どうかな
そんなんことばっか考えてる自分に気づいて
とても嫌になったけど
周りの人もみんなそうだということに気づいて
ああそうか
これが日常なんだ
そんなことに気づいた

会社でも
学校でも
スーパーでも
レストランでも
観光地でも
どこに行っても同じ
自分が得をしたい
自分だけが得をしたい
自分が良ければそれでいい

それが目標になると
面白いことなんて一つもない
知ってるけど
知らないうちに
そう思っている自分がいた
そう思ってる人たちに囲まれていた
そんな中で競争している
そんな自分がいた

そんな自分が嫌になるけど
そんな日常から抜け出すには
どうしたらいいのかな
実際には無理だよな
なんの苦労もなく生きていける
大金持ちでもなければ無理かな
そんなこと思ったけど
そんな人たちもいることに気がついた

大金持ちでもなんでもない
普通の人
もちろん
そんな自分を装っている人たちでもない
そんな人たちいっぱいいるからね
ではどんな人たちか
それは気づくしかない
自分で気づくしかない

それは
自ずからの人たち
常に自ずからの自分であり
そんな自分であり続けている人たち
そして
それになろうとしているわけでもなく
それになっている人たち
自然な自分が自然な人たち

いつかそんな自分になれるといいな
そう思って今日も過ごそう
だってなろうと思ってなれるわけでもない
気づくか気づかないか
それだけだから
だから自然を感じて今日も過ごそう
そしていつかなれるといいな
自ずからの自分に