季節はずれの花火


花火

季節外れだけれど

こんなにキレイ

気がつかなかった

夏の夜の花火は

当たり前だけど

浴衣に

イカで決まりだけど

季節外れの花火は

そもそも季節外れだから

何が似合うかわからないけど

タダタダ花火がキレイ

それでいい

そう思ったけど

花火を手にもつ

君の笑顔

花火に似合って

素敵だったから

花火と君

季節外れの素敵な時間が

僕と僕らの季節に

とてもお似合いだった

 

 

ドライブ


クルマを運転していたら

どこまでも
どこまでも

行けるような気がして

どこまでも行ってみた
ひとり

そしたら

森や
川や

ツバメたちや

見たことのない湖や
深い深い青い川や

みんなが僕に寄り添って

僕のそばに居てくれて
僕は嬉しくて

クルマを運転していた

どこまでも
どこまでも

僕はひとりのようでひとりではない

そんなことがわかって
幸せな

幸せなドライブ

いつまでも
どこまでも

そう思った

スケートリンク


スケートリンク
何もなかった場所に
デパートやショッピングセンター

クリスマスの頃
みなが楽しそうに
輝いている

スピードを競い
演技を競う
オリンピック

もちろん
みなが輝いている
美しい

けど
僕のスケートリンク
クリスマスの頃にだけに現れる

あの輝き
きらめき
みんなの笑顔が大好きだ

だから
今年の冬に行こうよ
約束して

とびっきりのおしゃれをして
手を繋いで
輝きに包まれよう

アサリ


イタリアンのシェフが
アサリのボンゴレ
振る舞ってる

砂は絶対に残さない
そう言って
その技を教えてくれた

僕も思う
ジャリ
台無しだ

洗面所に行き
吐き出し
口を何回もゆすぐ

そんな経験
だけど
アサリは美味しいから

僕はアサリが好きだから
美味しくて
幸せになれるから

調理の前に
50℃のお湯で茹でる
アサリは砂を吐き出す

旨味も抜け出さない
なぜなら
アサリは生きているから

50℃は死なない温度
イタリアンのシェフはそういった
もがき苦しむ

そんな言葉が思い浮かぶ
地獄釜
そうに違いない

残酷
そんなこと言わない
だって僕らは残酷だから

アサリ
生きていること
気づいていないだけ

僕らは気づかなければいけない
尊敬しなければならない
感謝しなければならない

美味しく食べる
感謝して食べる
それが生きることだから
 

BBQ


バーベキューに行ったら
みんな楽しそうで
はしゃいでいて

酔っ払っていて
たくさんのお肉を焼いていて
幸せそうだった

それでも
若い人や
若い家族ばかりで

かっこいい道具
おしゃれな格好
モデルみたいだ

なぜだか
本当に楽しいのかな
そんなこと思った僕は

ひねくれてる
そう思ったけど
そう思ったから

しょうがなくて
なぜそんなこと思ったのか
考えてみたら

自分のため
自分たちのため
ではなくて

人に見せるため
楽しむ自分を知ってほしいため
そんな空気が充満していたから

ひねくれてる
そう思って
美味しい肉を食べることに集中した

 

休みの日の朝


休みの日の朝
なぜだか早く目が覚めてしまって

もっと寝ていたい
もっと休みたい

そう思ったけど
目が覚めてしまったので

ベッドから抜け出し
カーテンを開たら

そこには
僕の知らない世界があった

輝きに満ちた空
期待に満ちた空気

清々とした生き物の声
風に揺れる草木の音

土の匂い
光合成された酸素の香り

知らなかった
知らなかったから

知ることができてよかった
そう思った