昼と夜と


なぜ
月はあんなに美しいのだろう

なぜ
月は満ち欠けを繰り返すのだろう

なぜ
三日月はあんなに神秘的なのだろう

なぜ
昼の太陽と夜の月があるのだろう

なぜ
月明かりは僕らに希望を与えるのだろう

なぜ
太陽は僕らに勇気を与えるのだろう

なぜ
僕らには月と太陽があるのだろう

なぜ
僕らは生きているのだろう

僕らはどこにいるのだろう

月と太陽にとって僕らは何者なのだろう

なぜ
僕らは空を見上げるのだろう

僕らはどこからどこに向かうのだろう

月と太陽は知っているのだろうか

なぜ
昼は明るく夜は暗いのだろう

僕らは知っている

月と太陽が僕らのためにあることを

 

太陽


寒い季節
朝起きて窓の前に立ち
晴れ渡った空を見て安心する
すると
太陽の陽が
徐々に僕を温めていき
僕の心にも何かワクワクするものが芽生えてくる
そんなことに気づいた

太陽は不思議だ
ものすごく遠くにあって
真っ暗な空気もない宇宙で
ただひたすら燃え続けている
そんな太陽が
このちっぽけな僕を温め
何だかわからないけれど
力を与えてくれている

思えば
僕の側にはいつも太陽がいた
祭りの日や運動会
みんなで行った海水浴
初めてスキーをした時だって
冷たい雪山にだって太陽はいた
僕を温め続け
僕に何かを与え続けた

それなのに僕らは
紫外線は体に悪いとか
眩しいとか
晴れてくれなきゃ洗濯物が乾かないとか
そんなことばっか言って
気づかない
太陽の大切さ
太陽の素晴らしさに

だから気づけないんだ
僕の大切なあの人に

気づくことから始めよう
すべてのことに
僕も太陽みたいになれるように
普段は気づかれないけど
誰かにとってなくてはならないもの
そんな存在に
僕や僕らもなろう
僕らのお手本は
いつも空の上にいる
 


ぶあつい雲が空に浮いている
何層にも重なって
空のいたるところに存在感を示している雲

雲は輝いている
太陽の光を一身に吸収しているかのよう

雲はただただ漂っているのではない
空と地上との間に存在し
その中には雨を有し
時にはイナズマまで生み出す

黒い雲白い雲
空の空間は雲のものだ

雲は昼間にしか見えない
太陽の輝きを纏うオブジェ
そして僕らは雲のうえに佇むことを想像する
それは天国

雲がなければ空もない
そして地上もない

雲は僕らの未来
優しさ
いつか出会える大切な場所
綿菓子のような雲

いつも僕の上にいて
輝きを吸収して雨粒として絞り出しておくれ

僕は待っている
雲の輝きと
雲の抱擁力を
僕らは待っているから

 

そんな僕


面白い人
楽しい人
頼りになる人のまわりにはいつも人がいる

だから僕も
そんな人になりたくて
いつもそんな人のふりをする

装ってる
それが正解
いつもそんな人のふりをしている

そんな人に思われたいから
装ってる
おかいいよね

そんな自分であれば
装う必要なんてない
いつもの自分でいればいいのだから

人への気遣いと
そんな人のふりをすること
全然違うんだよ

それなのに
僕はそんな人に見られたくて
人に気を使う

食事に行かないかい
どっか遊びに行かないかい
そんなことも言えない

断られたらどうしよう
僕といて楽しくないと思われたらどうしよう
だから誘ってくれないかな

いつも待っている
情けないね
人に決めてもらってばかり

でももしかしたら
それも僕なのかもしれない
僕は気づかなければならない

僕は違う僕になるなんて思わなくていい
それは装うことをさらに装うことだから
そんな僕になってはいけない

装うことからやめてみよう
それで人と離れることもあるかもしれない
傷つくこともあるかもしれない

でも他人を傷つけなければいいじゃないか
そんな僕になろう
そんな僕で居続けよう

そんな僕に接してくれる人
そんな人が
きっと最高の友達になるはずだから

 

無人島


あの海岸から
無人島が見える
ぽっこり浮かんでいる
小さな小さな
無人

無人島には
小さな小さな
灯台があって
僕はここにいるよって
夜も教えてくれる

かつては人が住んでいたのかもしれない
みな知っているのに
みないつも見ているのに
ただそれだけの島
存在しているだけの島

でも存在っていうのはそんなもん
ただいるだけ
ただあるだけ
それが何をやっているか
なんのためにあるか

それは人間が理由づけしているだけ
自分たちのために
自分たちが納得するために
そう思っているだけ
ごまかしているだけ

ただいるだけ
ただあるだけ
それだけ
それだけなんだから
僕らは存在していることに相応しい生き方をしなければならない

それは誰のためでもない
人のためや
人にどう見られたいかではない
自分自身のため
僕らは自分自身のためにただひたすら存在している
 

美しさ


海が泣いていた

空が泣いていた

山が泣いていた

どうしたんだい

なにかあったのかい

それにしても

君たちが泣く姿は美しい

素晴らしい光景だよ

僕も泣いていいかい

僕も君たちのように美しくなりたいんだ

泣いている時も

笑っている時も

怒っている時も

君たちが僕らを包み込むように

僕も誰かを包み込みたいから

それが美しさ

そんな僕になりたい
 

日常


その線路は朽ち果てていた

かつて電車が行き来したはずの線路
学生や会社員がいつもの場所へ向かい
家に帰るいつもの列車
家を離れ新たな旅立ちの日に乗った列車
幾多の思いを乗せ
乗る人が何を思うか思わないか
感じさせることもなく日常であり続けた列車

いつ朽ち果ててしまったのだろう

あの日常はどこへ行ってしまったのか
代替のバスが走っているという
それで代わりがきくものだったのだろうか
あの運転手や駅員さんは何をしているのだろう
聞けばあの嵐が線路を流してしまったらしい
それから修復もできず
草が生え放題の朽ち果てた線路

日常がなくなることも日常だった

みな忘れてしまっていた
忘れ去られてしまっていた
ここに列車が走り
乗り降りしていたあの日常
迎えに行く人迎えられる人
すべてが
日常だった

今日遠くの国からミサイルが飛んできたらしい
あの街は跡形もなくなってしまった
みんな死んでしまった
それでも
みんなは日常がなくなることも日常だと
思うのだろうか
気がつかないでいるのだろうか

今を生きている
それが日常
必死に
頑張って
みんな幸せに生きている
それが日常だから
決して忘れてはいけない