トマト


ベランダにトマトを植えていた
小さなトマト
プチトマトってやつ

トマトは立派な蔓にぶら下がり
いくつも連なって
すくすくと成長していた

僕は蔓を引っ張って
僕もぶら下がりたいな
そんなことを思ったら

蔓に登って
雲の上にいる
大男に出会う物語を思い出した

あれはなんの蔓だろう
そんなことはどうでもよかったけど
僕も登りたいと思った

でもそんなことできるわけもなくて
蔓にぶら下がった
トマトを一つ食べて見た

甘いけど
酸っぱくて
なんだか生きてる匂いがして

僕は少し謝りたくなったけど
なんだか元気が湧いてきて
ああそういうことか

生きるってそういうことか
そう思って
蔓を触って見たら

僕の腕だった
僕が食べたトマト
それは僕の心だった