本屋さん


僕は本屋さんが大好きだ
平置きされたたくさんの本
清潔そうな空間と
あの匂い

古本屋さんや図書館は好きではない
なんだか埃っぽいから
何より
あの匂いがしないんだ

僕が本屋さんに行く理由
読みたい本があるから
そうじゃない
暇だから でもない

僕が本屋さんに行くのは
僕に何もないから
僕は僕に何もないのを知って
焦っているから

僕は本屋さんに行けば
何かを得られると思ったから
新しい何かを知ることができる
違う僕になれると思ったから

だから僕は
今日も本屋さんに行く
僕の大好きな
本屋さん

 

ビール


ビールをグラスに注ぎ
空を透かして見た
琥珀色に染まった
空と雲
泡のなかに佇んでいる

ビールをグラスに注ぎ
窓から見える風景を透かして見た
木々やビル
遠くに人のすがた
すべてが琥珀の中にあった

ビールをグラスに注ぎ
家の中を透かして見た
テレビの中でアナウンサーが何か言っている
ソファーには僕らの家族
琥珀の中で泡立ち幸せそう

僕はビールを一気に飲み干す
琥珀色に染まった
空や緑やビルや人々や家族を
一気に飲み干した
僕は幸せを飲み干した

グラスを透かして外を見ると
すべてがなくなっていた
 

 

本当の仕事


枠を越えて協力し合う
協働
そこからイノベーションが生まれる
素晴らしい
ほんと素晴らしい

自立した人間ができること
自立した人間でなければできないこと
社会のため
自分のため
他人のため

誰かを従わせ
誰かに従う
そんな人間や
そんな組織では
絶対にできないこと

誰かを従わせようとする組織は
必ず腐敗する
一時的な成果は得られるかもしれない
永続的な発展やイノベーションは起こり得ない
仕事が目的に向いていないから

あの人によく思われたい
褒められたい
叱られたくない
だから言われたとおりのことをする
それが楽だから

偉いあの人は偉くなる
自分に従わせることで
そして従う人間を偉くさせることで
自分はもっと偉くなる
それが目的となっているから

そうなってやいないかい
まわりをみてごらんよ
これやらなきゃ怒られる
あの人に気に入られなきゃもう終わりだ
もっともらしい嘘ばかりついて

でもそうじゃない組織もあるはずだ
目的が明確で
目的に納得感があって
評価が正しくて
自分のしていることに納得感を得られる組織

そんな組織を目指すべきだ
そんな人間になることを目指すべきだ
要領がいいかよくないかじゃない
断じてない
もう嘘をつくのはやめよう

 

繋がる


緑が生い茂り
清々とする中
歩いていると
足元には桜の花びらが
降り注いだ亡骸
その横には小川が流れ
水は山からやってくる
雪解けのあと

全てが繋がっている
一連の景色とその存在
それらの中を歩く
僕は何に繋がっているのか
確かに僕は繋がってきた
でもそれがどうしたっていうのか
これからどう繋がるか
それだけを考えればいい

緑のトンネルの向こうから
誰かがやってくる
僕の希望がやってくる
待つのではなく
迎えに行く
僕は自ら繋がりにいく
それが僕の希望であり
幸福
繋がるということ

 

僕は見つける


僕は見つけた
土手に生まれた新しい生
つくしたち
そこに吹くあたたかい風
それに乗ってやってくる
さらなる生への期待

僕は見つけた
太陽の日差し
光り輝く川の水面
うっすらと透けて見える魚影
存在を伝える泡
そこに存在する家族

僕は見つけた
僕の影を
僕がいることを知り
僕が一人でないことを知る
そして見つけた
僕に重なり合う影を

僕は見つけた
光を
影を
暖かさを
熱さを
寒さを
寂しさを
喜びを
悲しみを
悔しさを
楽しさを
僕は知った

僕は見つけた
ようやく見つけた
僕の希望
僕の幸せ
僕たちの幸せ
それは家族

 

僕は生きる


そんなに早く寝てどうすんの
明日がきついから?
コンディションを整えたいから?

いったい明日何があるっていうの
どんだけ大事なことがあるっていうの
いつもの明日が来るだけじゃん

逃げるなよ
寝れば幸せかい?
幸せなんだよね

逃げるなよ
誤魔化すなよ
恐れるなよ

なにを焦ってるんだよ
睡眠が足りなかったからどうだっていうんだ
そんなに大切な明日なのかい

だったらもっと今日を頑張ったらどうなんだ
そうだろ
今日できないことが明日できるわけないだろ

わかってるんだろ
そうさわかってる
僕には何もないことを

だからって逃げるなよ
誤魔化すなよ
恐れるなよ

正直に生きようよ
自分ができることをすればいい
100%すればいい

それが僕だから
僕が生きているということだから
誰がなんか言ってもかまうもんか

それが僕だから
僕が生きているということだから
誰にも何も言わせない

だから逃げない
逃げたりなんかするもんか
僕は生きるんだ

 

僕は自分


あんな風になりたいな
理想だな
なれたらいいな

僕も誰かにそんな風に思われたい
かっこいい人になりたい
そんな人生を歩みたい

バカだな君は
まだそんなこと考えてるのかい
わかってないな

何がだよ
なんでバカだっていうのさ
誰だってかっこよくなりたいだろ

人に褒められて
羨ましがられて
いい気持ちになりたいじゃないか

バカだな君は
だからバカだっていうんだよ
人にどう思われたいかなんてどうだっていい

いい加減に気付きなよ
自分はどうなのさ
人がどう思おうが関係ないだろ

全ては自分だよ
自分で自分をどう思うかだ
自分に認められる自分になりなよ

それが君に必要なことだ
わかったかい
君は君しかいないんだよ

だから
もっと自分に自信を持ちな
そして自分に自信を持てる自分になりな

それがかっこいいいってことさ
素敵な自分になるってことさ
自分に認められる自分になるってことさ