トンボ


お墓の前で
アレヤコレヤ話をしていたら
いつのまにか隣のお墓のとうばに
トンボが止まっていた

トンボはじっとこっちを見ている
青いシオカラトンボ
面白くなって
アレヤコレヤとトンボに話しかけてみた

トンボは黙って聞いてくれたけど
当たり前だけど
何いうわけなくて
僕はバカだなあと思って

それでもトンボはそこにい続けるものだから
アレヤコレヤの話の続きで
僕はどうしたらいいのかな
と聞いて見た

もちろんトンボはなにいうわけでもないけど
それでも僕はなぜだかスッキリして
お墓に向き直って
頑張るよと言って見た

そして振り返ってトンボを見ると
もうそこにトンボはいなかった
あたりを見回したけど
その姿はどこにもなかった

空には一面の青い空
白い白い雲が漂っている
僕は墓石に水をたっぷりかけ
手を合わせて目をつぶった

 

自由


チェンジ
権力を持った人はみんな言う

勝手に言わせておけば
そう思ったけど

求めているのは権力を持たれた側だった
チェンジ

彼らは変えることを求めているのではなくて
変えてくれることを求めている

だから権力者は
俺が変えてやると言う

世の中よくできている
支配と服従

支配する方とされる方
略奪する方とされる方

それなのに人は自由を求める
自由ってなんだ?

それは自分一人で生きていけること
人に要求することではない

それがわかっているのに
わかっていない振りをするのは

みな支配されることでもたらされる
自由という名の権利を求めているから

そんな都合のいいこと
あるわけないでしょ

みな気づいているのに
気づかない振り

社会の仕組みと個人の生き方は違うのに
社会と個人を混同させて都合が悪くなると知らんぷり

生きるためといえばそれまでだけど
そんなしたたかさ誰から習ったの?

僕らにはもっと大切なことがある
それが僕らの自由だ

 


風力発電って好きだな
昔の風車じゃないよ
あの丘陵や海沿いにあるおっきな現代の風車さ

あの圧倒的な存在感
あれを見ると自分が小人になったように感じる
ガリバーの反対

一体誰が考えたんだろう
すごいものを作るもんだ
建設費の元は取れているんだろうか

もしかししたら損得なんて考えていないのかもしれない
オブジェ
モダンな芸術作品なのかも

だってこれに似たものを知らないかい?
あれだよ
イースター島のモアイさ

実はモアイ像も科学的な道具だったりしてね
何百年後かにこの風車たちも
謎の伝説とか言って語り継がれているのかも

まあそんなことはどうでもいいけど
人間ってすごいな
こういうのを自然との融合というのではないだろうか

晴れた日は風車を見に行こう
悩みなんて吹っ飛ぶよ
自分はこんなちっぽけな存在ってね

 


鳥が鳴いていた
ピーピーと
甲高い鳴き声

どこにいるのか探したら
家の前の電線の上
一羽止まっていた

どこから来たのだろう
そう思って写真を撮ろうとしたら
どこかに飛んでっちゃった

よく考えたら
写真を撮ってどうしようというのか
おかしくなって笑っちゃった

あの鳥はどこから来てどこに行こうとしてるのだろう
不思議
一体どこで生まれたのだろうか

だけど僕も同じ
鳥から見たら不思議な生き物
何やってるんだろう?って思われてるかも

エサを取りに行くわけでもなく
生きることに必死なわけでもなく
いつでも他の動物に襲われちゃう

僕は人間だから
そんなこと気にしなくても大丈夫
守られているんだよ

そんなことを思ったら
守られてることと
生きることは別だということがわかった

僕は生きることに必死ではない
それは生死の問題ではない
目的の問題だ

あの鳥は生きることが目的だから
可愛いい声で鳴くのだろう
僕を蔑むように見ていたのだろう

だから僕は思った
お前なんかに負けるものかと
絶対に負けるものかと

僕は何だってできるし何だってする
お前を食べることだってできる
お前の鳴き声だって僕のものだ

僕は守られてなんかいないから
自分で生きていかなければならないから
それが僕だから

今度あの鳥にあったら教えてやろう
そして
ありがとうと言ってやろう

 

雨の日


僕はドライブが好きだ
僕を何処へだって連れて行ってくれる
しかも僕が操縦して
こんな素晴らしいことないよね
僕は何処へでも行ける
誰とでも会うことができる

誰とでもっていうのはね
人だけのことを言っているんじゃないんだ
この世界全体さ
あの山や森それに空や海だって
道さえあれば何処へだって行ける
そして感じ合うことができる

彼らだって僕のことを待っている
僕たちは会話ができるんだ
素敵だろ
僕は知ってしまったのさ
感じ方一つ
誰とでも話ができるってね

それにね僕が大好きなのは雨の日
雨の日のドライブは最高さ
僕は車に守られて
どんな土砂降りの日だって
何処へだって行けるんだ
そして世界が洗われていく姿に立ち会える

嵐や雷の日だって
僕ら世界のために存在している
今度よく見てごらんよ
その時にだけ見えるものがあるから
すべてが洗われて行く瞬間
すべてを包み込んでくれる瞬間

さあ僕は行くよ
彼らと接したいからね
雨の日は最高だから
こんにちは僕です
君に会いに来ましたって言うんだ
さあ早く

 

その日まで


山道を車で走っていると
あたり一面が霧に覆われてきて
前もよく見えなくなってきて

 

あれ
天国に来たのかな
そんなことを考えていたら

 

前からライトを照らした車がやって来て
だんだん近づいて来たから
迎えに来たのかな

 

そんなことを思ったけど
そんはずがなくて
その車はただ単に通り過ぎていっただけで

 

よく考えたら
いつかこういう日が来るのだろうな
その日までどのくらいあるのだろうな

 

そんなことを考えていたら
僕はどこに向かっているのだろう
いまの目的地 じゃなくて目的

 

それがわからなくなって
ちょっと怖くなったけど
わからないことが当たり前ということがわかって

 

少し安心したけど
その日が来ることは間違いなくて
その日が来るまで何をするかがきっと目的で

 

その目的がみんなわからないから
ただの暇つぶしという人もいるけど
本当に暇をつぶしているだけの人たちもいて

 

スマホ片手になんかしてたり
なんにもしてないけどなんかしてたり
それでも充実している振りしてたり

 

でもそんなこと考えてもしょうがないから
僕は自分のことを考えることにして
僕は何してるのかな

 

そう思ったけど
そう思うことを発見したことに気がついて
なんか急に気が楽になって

 

このまま空を飛べたらいいな
そう思ってアクセルを踏み込んだら
飛べちゃった

 

そうか僕は飛べたのか
知らなかったな
気がつかなかったな

 

そうか
そうなんだ
僕には僕の目的がわかったような気がして

 

嬉しくなって楽しくなって大笑いをしていたら
前からライトをつけた車がやって来て
僕の名前を呼んだんだ

 

本当の姿


サングラスって嫌い

眩しい?
おしゃれ?

そんなことはどうだっていい
だってせっかくの風景が台無しじゃん

自然の景色
そのままの色で見たくないの?

僕は本当の姿を見たい
それを見るために生きていると言ってもいいくらい

だから車の黒いガラスも大嫌い
なんであんなことするんだろう

車窓の景色を見ないなんて
寝ているのと一緒だよ

行き先だけが目的なのかな
僕は行き先よりも過程が大事

だってこんな景色
もう二度と見れないかもしれない

本当の姿を見たいじゃないか
そのままの色や形と触れ合いたい

僕がおかしいのかな
でも大事なことだ

普段の生活も一緒さ
みんな本当の姿を見せない

隠したいのなら隠せばいい
でも本当の世界を見たくないの?

僕は知りたい
この世界の全てを知りたい

隠しても隠せないものがある
それが本質だと皆知らないでいる

この自然
この世界

僕は
そのままの世界を見ていたい

だから僕は
サングラスなんかしない

紫外線なんかの問題じゃない
日差しがあることが重要なんだ

それに気づくか気づかないか
とても大事なことなんだ