似合うかい


ありがとう
この服
僕に似合うかな

若過ぎないかい
ちょっと
派手じゃないかい

いいのかな
僕は
白髪頭のおじさんだよ

ちょっと
若者向けじゃないのかい
恥ずかしいよ

だいじょうぶ
彼女は言う
だけどね

ほんとかい
僕には似合わないよ
もっと普通でいいから

あれ
彼女が怒り出した
なんで

普通って何
彼女が言う
あんたの人生ってなに

なに言ってるのさ
おおげさだよ
洋服のことじゃないか

ちがう
彼女は言う
彼女はこういった

おじさんだから
おじさんの格好をする
あんただれ?

普通がいい
普通って何?
あんただれ?

僕は考えこんだ
ちがうんだ
そうじゃないんだ

僕は
僕に似合えばいいんだ
それでいいんだ

僕は
外見も含めて僕だから
似合う服が欲しい

それだけなんだ
そう
彼女に言った

彼女は
不敵な笑みを浮かべ
こういった

私はね
あんたが好きなんだよ
わかったかい

彼女はそう言うと
僕に抱きつき
キスをした

それは
それは
素敵なキスだった

僕も彼女を
ぎゅっと
抱きしめようとしたら

彼女は
離れ
こういった

きている服もふくめて
あんたなんだよ
だから頑張んな

私が
選んだ
服に似合うあんたになりな

そうか
そうだね
そうじゃなきゃ

僕はなんだか
嬉しくなって
幸せになって

よし
頑張るぞと思いながら
彼女のことが

いままでより
これまでより
大好きになっちゃった